地球温暖化対策の中期目標に対するご意見
2009年5月16日
東京都練馬区上石神井南町18-14
しあわせ創研
森 哲郎 (XXX-XXXX-XXXX)
XXX@XXXXXXX
http://www.shiawasesoken.com/
以下、表記ご意見を提出させていただきます。ご検討よろしくお願い申し上げます。
目次
(1)我が国の温室効果ガスの中期目標(2020 年)は、どの程度の排出量とすべきか
(2)その中期目標の実現に向けて、どのような政策を実施すべきか
規制的措置(エネルギー効率改善規制、機器等の導入義務付けなど)、経済的助成措置(補助金、減税等)、経済的負担措置(炭素税、排出量取引等)など様々な種類の政策を、どのように組み合わせて実施すべきか。
ICT(情報通信)技術や非電化製品等の新技術によるCO2削減促進
政策の実施に伴うコスト(規制に伴う国民や企業への負担、経済的助成に伴う財政負担など)について、どのように考えるか。
(3)その他、2020 年頃に向けた我が国の地球温暖化対策に関する意見
以下本文
・ 目標値としては、選択肢Bと同様の数値です。現実として、現状で、産業界に、簡単ではないにせよ、国際的な期待等を勘案すれば、受け入れ可能なレベルではないかと考えるからです。現状で産業界から多くご提案の数値は、現実的でリーズナブルなもので、十分な理由がありますが、国際的には、日本に期待されるレベルを大きく下回っており、日本が地球温暖化を推進していける信頼は得られなくなってしまうのではないでしょうか。しかも以下(2)に掲げたように、いろいろなメリットを享受しながら、選択肢Bにあるようなものだけでなく、楽に達成していける方法があると考えられます。
・ 平成19年5月24日に当時の内閣総理大臣がご提案された、地球温暖化対策に関する「Cool Earth 50」は、「地球環境との調和を図りつつ人類が発展を続けるため、文明のあり方を転換すべきではないかとの問題提起」を行われました。[1] 現状の延長線上にある対応だけでなく、選択肢Bにより、ある程度「文明のあり方の転換」にトライする姿勢もまた、人類全体に貢献する日本の強い姿勢を示す点で、意義が大きいと考えます。
選択肢Bで示されたと同様の、各種政策を、原則としては、すべて実施することを想定しています。その上で、「文明のあり方の転換」をうながすようなものを中心に、効果的な取り組みを、平和的に、無理のない範囲とやり方で、推進していきます。たとえば以下のようなものがあります。これらの効果は、今後10年に徐々にあらわれますが、2020年以降の2050年に向けた、さらなる排出量削減のための土台づくりにもなります。
食生活の改善は、温室効果ガス(GHG) 削減に大きな効果があり、いずれも同時にメタボリック症候群の改善や癌予防など健康増進につながる[2]ことで医療費などの削減にもつながったり、食糧自給率向上に貢献できたりする、たいへんメリットの大きく広範なものです。モーダルシフトに類似していますが、温暖化対策でふれられることが、まだまだ少ないと考えられます。もちろん、大切な嗜好、関連産業関係者への影響もあり、むりなく少しずつ行う必要があります。詳細な、削減量の算出は、ご要望があれば、いたしますが、十分に、目標達成に貢献できるほどの効果が期待できると考えられます。
食肉生産にかかわるCO2は、牛のげっぷもあり、飼料生産・輸送等のために多大なものがあります。少し減らすだけで、健康増進にも驚くべき効果があります。
(私は、“Cool the Earth”アイデアコンテストで、日本人の食品消費を約5%削減することで、粗い試算で、海外でのCO2発生も含みますが、年間CO2排出量を700万トンの削減効果があると提案しました。[3] これは、海外でのCO2発生も一部含まれる試算ですが、波及効果を考えると十分に有効性がありうる数値と考えられます。もちろん、すきな食べ物を無理やり減らす必要は、ありません。健康増進などのために、喜んで実行できるよう啓蒙活動を行います。まずは残飯を削減する政策を推進するだけでも、残飯の廃棄物処理にかかわる大きな効果があります。
精製された白米などの穀物に消費がかたよっています。これは、ぬかなどの廃棄物も発生し、栄養的にも食物繊維やたんぱく質などの健康にも大切な成分が、削減され、廃棄によりCO2も発生してしまいます。精製穀物はおいしいですが、玄米は、すべての人に好まれるとは限りませんが、なれると大変おいしいものです。玄米消費普及を行うと、食料自給率の向上にも役立ちます。
健康やCO2削減に資する産業を振興することで、経済成長を抑制せずに、CO2削減を達成すること可能となると考えられます。健康増進による医療費削減も期待できます。
体脂肪をエネルギー資源ととらえて、CO2削減と健康のために、自転車による移動を奨励する動き[4]は、世界でも広がりつつあります。ばかりか、自転車産業の振興にもなるし、自転車道路整備を大々的に行えば、需要創出効果もあります。
健康とCO2削減に同時貢献できる産業を振興します。健康機器・フィットネス業界が考えれます。たとえば、新築ビルに登りやすい内階段の設置義務付けをすることで、健康増進しながらCO2削減をすると同時に、需要が創出できます。
実際の活動を、バーチャル化することでCO2を削減する、たとえば電子会議や、旅行代行ロボットなどによるバーチャル旅行[5]のようなICT技術の貢献は、CO2削減と景気浮揚におおきな期待がもてますし、富士通や三菱電機などの企業がこうしたCO2削減に、定量的にコミットしてビジネスを展開することを宣言しています。そうしたことを、さらに振興することで、景気浮揚につながり、日本の競争力も強化しながら、CO2を削減できます。
電気を使わない冷蔵庫や自動ドアなど、これまでの発想を非電化[6]技術の取り組みがはじまっています。オール電化の推進と対立するものではなく、電気などのエネルギーを使用中にまったく使わない製品の開発が一部で加速しています。こうした分野を振興することも、CO2削減と日本の競争力増大に資することになります。
ご提案した政策の推進にあたっては、直接的には、売り上げが減少する可能性のある業界に対して、業態転換等の支援を行うコストも必要となる可能性がありますが、そうしたものも極力なんらかのCO2削減・需要創出に結びつくものとします。
前述のように、以上の分野の改善・推進は、温室効果ガス(GHG) 削減に大きな効果があるだけでなく、いずれも同時にメタボリック症候群の改善や癌予防など健康増進につながることで医療費などの削減にもつながったり、食糧自給率向上に貢献できたりする、たいへん政策効果は広範なものです。補助金、研究開発活動、啓蒙活動、に国家予算を投入しても、一部の需要削減はあっても、一方での景気浮揚効果を勘案すると、十分に、費用対効果があると考えられます。ご要望に応じて、さらなる情報をご提供いたします。
大幅削減には目標としてコミットしなくとも、何かをあきらめたり、しめつけたり、既存業界の発展を脅かさないよう共存共栄(ウィンウィン=Win Win)に配慮しつつ、大胆に推進すれば、上述のように、明るく楽しく、メリットが大きい範囲で、一挙三得となる手段は少なくありません。ただし、慎重に、平和的に発想の転換をしながら、他のメリットも得ながら、食生活改善や、自転車やバーチャル、非電化へのシフト、を振興していくことで、CO2削減目標を、思ったよりらくに達成していける可能性は十分あると考えられます。ご要望に応じて、さらなる情報をご提供いたします。
以上
[1] http://www.kantei.go.jp/jp/abespeech/2007/05/24speech.html
[2] 欧米政府に比べて、こうした点、推進の余地が大きいと考えられます。根拠資料はご要望に応じてご提供できます。たとえば2008年9月8日から11日の4日間、“栄養士界のオリンピック”と称される国際栄養士会議が横浜市で開催されました。この会議で、科学的エビデンスに立脚したがん予防に役立つ食事・運動の詳細が発表されました。(http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/report/080916_01.html )
シンポジウムのパネリストである米国ハワイがんセンター副所長のKolonel氏は、「膨大な論文のレビューの結果、植物性食品を中心とした食事により、口腔がん、咽頭がん、食道がん、肺がん、胃がん、膵がん、結腸直腸がんのリスクが低下することが確実」と語りました。また、植物性食品を中心とすることで、動物性食品の摂取量が減り、過体重や肥満の予防にもつながり、がんのみでなく、循環器系の疾患の予防にも有効としました。がん予防に関する10カ条(個人に対する推奨、公衆衛生上の目標)においても、下記が指摘されています。
推奨4)植物性食品:植物性食品を主体とした食事をすること
★個人に対する推奨: 非でんぷん性の野菜や果物を平均して毎日400g以上食べること。精製度を抑えた穀物や豆類を毎食、食べること。精製度の高い穀物をあまり食べないようにし、でんぷん性の根菜類を主食とする場合、同時に非でんぷん性の野菜や果物、豆類を十分食べること
◆公衆衛生上の目標: 非でんぷん性の野菜や果物を平均して毎日600g以上摂取すること。非でんぷん性のポリサッカライド(多糖類)25g以上を摂取できるよう、毎日、精製度を抑えた穀類や糖類、他の食物線維を含む食品を摂取すること
推奨5)動物性食品:赤肉類(牛肉、豚肉、羊肉など)の摂取を控えめにして、加工された肉はできるだけ食べないこと
★個人に対する推奨:赤肉を食べる場合、一週間に500g以下とし、加工肉はできるだけ食べないこと(ただし、鶏卵、鶏肉、魚介類の摂取制限はない)
◆公衆衛生上の目標: 平均的な赤肉類の摂取量を週300g以下とし、加工肉は非常に少量に抑える
[3] http://eco.goo.ne.jp/topics/cooltheearth/result.html 詳細は、下記を参照ください。http://www.shiawasesoken.com/cooltheearth/coolthearth.html
[4] 膨大な資料が提供できますが、たとえば下記のような記事は多いです。「日本社会の問題を考えると、自転車はかなり有効な解決策のひとつ。まずは環境面。東京都の環境白書によると2006年に都内で排出された二酸化炭素(CO2)の20%は自動車から。白書は、ディーゼル車が排出する粒子状物質は発がん性や花粉症と関係があるとも指摘している。排ガスと無縁な自転車は、それだけでも大きな環境対策になる。
健康対策としても有効。厚生労働省によれば2007年の日本のメタボリックシンドローム該当者は、予備軍も含め2000万人。運動不足を解消するのに、自転車は理想的な有酸素運動だ。下半身と体幹の大きな筋肉群を使い、メタボリックシンドロームの原因となる脂肪を燃焼してくれる。」(三浦豪太「探検学校」2009/05/16, , 日本経済新聞 夕刊, 6ページ, )
[5] 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構によると2020年頃にバーチャル旅行および旅行代行ロボットの出現が想定されている(http://www.nedo.go.jp/roadmap/2009/soft3.pdf )